ハムスター飼育をしている人の中には「飼育を続けるのが難しくなった」「繁殖させて飼いきれなくなった」などの理由で、手放すことを考えた方もいるのではないでしょうか?
金銭的な余裕がなかったり、急なライフプランの変化によってハムスターの飼育を継続できないことがあるかもしれません。
体が小さく大きな声で泣くことのないハムスターであれば野生に放しても人にばれることはほとんどないでしょう。
しかし、ハムスターを野生に放すことには、人にとってもハムスターにとっても様々な問題があります。
このページでは、倫理的、道徳的な観点からではなく、より客観的な視点からハムスターを野生に返すことについて説明しているので、飼育が難しいと感じている方はこちらの記事を参考になさってください。
遺棄されたハムスターは野生で生きられるの?
ヨーロッパから中央アジア周辺にかけての乾燥地帯には野生のハムスターが生息しており、自然の中でもハムスターを見かけることがあるようです。
しかし、これは乾燥した気候と安定した温度、ハムスターが生きられる生態系が前提となっています。
四季があり湿度の高い日本でハムスターを放した場合、生きていくことができるのでしょうか?
結論から言うと、野生にハムスターを放した場合、ハムスターは数日のうちに死んでしまいます。
ハムスターが野生で生きられない主な理由として、蛇やカラス、猫などの野生動物に襲われる危険、暑い時期の熱中症、寒い時期の低体温症といった危険があります。
ハムスターが野生で生きられない理由
日本のペットショップで販売されているハムスターは、愛護動物として長年にわたり人の手で育てられてきました。
餌や水といった食べ物から繁殖に至るまで人の手が加わり成立してきた生き物なのです。
野生の本能は残っているものの、中東アジアで見られる野生のハムスターに比べて生き残る力は備えていません。
うまく天敵から隠れられなかったり、興味を持って自ら近寄ってしまったりと人との生活で警戒心の鈍ったハムスターはすぐに捕食されてしまいます。
また、日本には四季があり、冬には気温がマイナスになります。
体温調整がうまくできなかったり上手に巣穴を作れないために寒い時期に野生に放されたハムスターは低体温症で死んでしまうのです。
ここまでをまとめると、日本では野生に放したハムスターが生き残れる確率は極めて低く、ほとんどのハムスターが数日以内に死んでしまいます。
仮にある程度間期間生き延びることができたとしても繁殖する相手がいないため、放された個体は1匹で死んでいくことになります。
日本に野生のハムスターがいないことからも自然界で生きられないことがわかるね。
『ハムスターを野生に放す=間接的に殺す』ということだね。
ハムスターを野生に返す理由とは?
そもそもハムスターを自然に放す人はどういった理由を持っているのでしょうか?
ハムスターを捨てる人が持つ理由の多くは以下の5つです。
- 面倒を見るのが大変になったため
- 経済的な面で余裕がなくなったため
- 人に懐かなかったため
- 無計画に増やしてしまったため
- 致命的な怪我や病気になってしまったため
経済的な面や繁殖に関しては、飼育の無計画さや知識の浅さが原因でしょう。
また、面倒を見るのが大変になった、人になつかなかったなどの理由でハムスターを野生に放す人は動物を飼育するのに向いていないのかもしれません。
このページでは倫理的、道徳的な観点を除いてハムスターを野生に返すことについて言及していくため、批判はしません。
しかし、以上5つのケースは全て飼い主の責任であり、万が一ハムスターが病気になったからと言って自然に放して良い理由にはならないのです。
ハムスターは拾われにくいペットです
インターネット上には、公園に捨てられたハムスターを見かけた人や保護した経験のある人の投稿があり、ハムスターを野生に返そうとしている人、既に自然に放った経験のある人も相当数いることが分かります。
「ハムスターを自然に返すのがいけないのであれば、段ボールやケージに入れて人に拾われるのを待てば良いのかも」と考える人もいるかもしれません。
新しい飼い主が現れるかもしれないこちらの方法であれば、野生に放した時よりも生き残れる確率は高くなるでしょう。
しかし、実際のところハムスターは拾われにくい動物でもあるのです。
ハムスターは体も小さく食べる量も少ないため飼いやすいと思われがちですが、ネズミの持つ菌やウィルスを警戒し触らないようにする人は少なくありません。
また、夜間の気温に耐えられなかったり天敵に狙われたりと人に拾われるまで生き残れないケースがあります。
段ボールや紙袋など紙製の容器でハムスターを捨てた場合には、ハムスターが容器をかじって脱走する可能性もあります。
人通りが多く目立つ場所に捨てられたハムスターであればともかく、人目が少なくひっそりとした場所に捨てられた子はほとんど拾われず死に絶え、敷地の管理者に回収されてしまうのです。
ハムスターを捨ててはいけない法律的根拠
ハムスターなどの愛護動物は愛護動物が法律で守られており、傷つけたり遺棄することが法律違反となります。
動物愛護法第6章、罰則の第44条3項には『愛護動物を遺棄した者は、50万円以下の罰金に処する。』との記載があります。
この愛護動物にハムスターが含まれ、遺棄は飼育を放棄する行為全般を指します。
つまり、ハムスターを自然に返すと50万円以下の罰金刑が課されるのです。
「見つからないだろう」と安易な考えでハムスターを遺棄すると、防犯カメラの映像や目撃者の情報から処罰が下されるかもしれません。
もちろん、世話をやめたり傷つけることも法律違反になります。
倫理的、道徳的な観点を除いたとしてもハムスターを自然に返す事はいけない行為なのです。
実際にペットの遺棄で逮捕された人もいます。
ハムスターを飼い切れないときの対処法
このページでは、ハムスターを自然に放してしまう理由や不当に遺棄してはいけない理由を紹介してきました。
ハムスターを野生に返すことは動物愛護法違反となり、捨てられてしまったハムスターは野生に適応することなく死を迎えます。
では、ハムスターを飼い切れないときにはどうすれば良いのでしょうか?
ハムスターを飼い切れないからといって野生に放してしまうと、愛護動物を遺棄する行為自体は違法なものです。
飼育が難しくなった際には、購入したペットショップに相談したり里親を募集しましょう。
「飼いきれないことを人に相談するのは恥ずかしい」「サイトへの登録ややり取りが面倒」など思う事はあるかもしれません。
しかし、これは動物を飼育した人の責任であり、法律に違反しないための最善の策でもあるのです。
おすすめのサイト親募集サイト『ペットのおうち』
ペットの飼育が難しくなった場合には、里親募集のできるサイトを利用しましょう。
『ペットのおうち』では、大型動物から小動物まであらゆる動物の里親情報が掲載されています。
利用者数が多い点、お悩み相談などのコンテンツがありペット飼育の疑問を解決できる点が嬉しいサイトです。
里親情報の掲載数もかなり多いので確実に里親を見つけたい方にはおすすめです。
まずはサイトに登録して使い方を覚えてください。
是非コメントを残していってください!
餓死させてしまったらどうなりますか??
またケージを変えたんですが噛んでしまいます
コメントありがとうございます。
愛護動物をむやみに殺したり傷つけますと懲役刑または罰金刑を課される可能性があります。
また、ケージを齧るお悩みについては、下記の記事をご覧ください。
https://mochi.work/cagekamu-ikihukikakeru/
今キンクマハムスターを一匹飼っていますが、父親が部屋でなく外で飼えと言ってきます、性格が頑固なので外で飼う以外許してはくれません。外で飼うにはどうしたら良いのでしょうか。自分自身酷い事を聞いているのはわかっています。
コメントありがとうございます。
下記のページでベランダ飼育について解説しているので、参考になさってください。
https://mochi.work/hamster-balcony/
ベランダ飼育は温度管理や衛生状態の維持が非常に難しいためお勧めできません。
短期間で亡くなってしまうケースが多いので、非常に悲しいと思いますが里親など検討されると良いと思います。
ブリーダー崩壊の報道をきっかけに関心が高まり、飼育経験のあるハムスターのことも調べていてこちらにたどり着きました。
私がハムスターを飼育していたのは25年以上前の小学生時代でしたが、こういった現状になっていることを最近まで知りませんでした。
心が痛みます。
少しでも力になれるよう、まずは保護カフェに行くことを考えています。
コメントありがとうございます。
支援の仕方は様々ですが、まずはこういった問題がある事実を知っていただくことが大切だと思います。