ハムスターは小さな体に可愛らしい仕草が魅力のペットです。
狭いスペースでも飼育できるうえ、犬や猫のように大きな声で鳴くこともなければ糞尿も臭いません。
一人暮らしの癒しとして飼育を考えている方もいることでしょう。
では、家を空けがちな一人暮らしの方がハムスターを飼育するためには、どういったことに注意すれば良いのでしょうか?
このページでは、ペットショップ小動物コーナー担当者によるプロ視点で一人暮らしのハムスター飼育について解説します。
ペットショップ小動物コーナーで7年勤務しているS.Nさん
ハムほし筆者と交流があり、今回記事執筆に協力して頂きました。(画像はイメージです)
飼育スタッフとしてお客様とお話する機会が多いです。
よくある悩みや失敗を共有できたら良いなと思います。
ハムスターの種類、生態を知ろう
これからハムスター飼育を始める方に知っておいて頂きたいのが、種類と性格、ハムスター特有の生態についてです。
ハムスターの分類、種類と性格
まずは、ハムスターの種類と性格について簡単に解説します。
ハムスターはネズミ科キヌゲネズミ亜科に属する生物で大きく分けて、体長10~15センチ程度と体の大きいゴールデンハムスター属と、体長5~10センチ程度と体の小さなヒメキヌゲネズミ属(ドワーフハムスター)の2種類に分けられます。
ゴールデンハムスターの種類には、ゴールデンハムスター他にキンクマハムスターや長毛・短毛ハムスターなど、気性が穏やかで人に懐きやすい品種が多いです。
一方、ドワーフハムスターには、比較的人に懐きやすいジャンガリアンハムスターや臆病で太りやすいプディングハムスター、人に懐くことの少ない観賞用のロボロフスキーハムスターなどが属しています。
初めてハムスターを飼う方には、よく懐いてくれるゴールデンハムスター種かジャンガリアンハムスターがおすすめです。
どちらも環境変化に強く、トイレを覚えてくれるので一人暮らしの方でも飼いやすいです。
ハムスターの生態とは
ハムスターの生態で重要なポイントは、夜行性である事と臆病な種類が多く、ストレスに弱い点の2つです。
まずハムスターは夜行性の生き物で、日中を巣箱や床材の中で寝て過ごし夜間に活動を始めます。
飼育経験の少ない方だと日中の様子を見て「元気がないのかも」「全然運動していない」と心配になったり、ケージや巣箱をいじってしまう事がありますが、これらはハムスターにとってストレスになります。
ハムスターには人と違った生活リズムがあるので、それを理解したうえで飼育を始めることが大切です。
また、性格にもよりますが多くのハムスターはストレスに弱いです。
警戒心の強い個体に頻繁に触ったり驚かせてしまうと、敵と見なされて逃げたり攻撃されることがあるので、様子を見ながら適度な距離感で接しましょう。
ハムスターが夜行性であることを知らないお客様は結構多く、それに関する相談も度々お受けします。
また、温度変化には本当に弱いので夏冬は注意です。
後ほど対策を解説します。
ハムスターが一人暮らしでも飼いやすい理由とは?
ハムスターには他のペットに比べて低価格で購入できる他、様々な強みがあり一人暮らしの方でも飼いやすいペットとされています。
ここからはハムスターが飼いやすいと言われる理由を紹介します。
一人暮らしでも飼いやすい理由①『賃貸でも飼育可能』
ハムスターが飼いやすい理由が、必要な飼育スペースの少なさにあります。
幅40~60センチ程の飼育ケージや箱、衣装ケースなど、十分な高さの入れ物を用意すればその中だけで飼育が可能です。
また、壁を傷つけたり鳴き声で近隣住民への騒音被害に繋がることもないため、ペット可の賃貸では許可が下りやすく、退去時の修繕費も安く済むケースがあります。
更に大家や不動産会社と相談すれば、ペット禁止の賃貸でも飼育できることがあります。
狭いスペースでも飼育できるハムスターですが、中には活動量の多い種類がいるので、飼育を検討している種類についてどれくらいの運動が必要なのか調べてからケージサイズを選ぶと良いでしょう。
また、回し車(ホイール)は必須です。
キーキーとうるさい音が鳴らないベアリング式のグラスハーモニーを購入し、飼育する数に適した個数を設置しましょう。
一人暮らしでも飼いやすい理由②『必要なお世話が少ない』
ハムスターが一人暮らしの方におすすめな理由の2つ目が、お世話の少なさです。
ハムスター1匹を飼育する場合、最低限のお世話は1日1回の餌やりと水の交換、1~2週に1回の掃除だけです。
もちろん、汚れた床材を頻繁に交換したり掃除の頻度を増やせばお世話の量はいくらでも増やせますが、高温多湿な環境でない限りそこまでしなくても十分に飼育可能です。
しっかりと温度管理を行いハムスターの適温(20~25℃程度)を保ってあげれば、日中の外出はもちろん、1日程度の外出があっても健康を損なうことはありません。
一人暮らしのハムスター飼育で注意するポイントとは?
一人暮らしでの飼育に向いているハムスターですが、いくつかの注意点を覚えておかないと取り返しのつかないトラブルを招くかもしれません。
特に日中自宅を不在にする方は、下記に注意し飼育が可能か今一度再検討してみてください。
一人暮らしで飼う時の注意点①『適した室温、湿度を保つ』
ハムスターは急激な温度変化に弱く、さらには適温を超えた高音・低温の状態にも非常に弱いデリケートな生き物であることを理解してあげましょう。
ハムスターにとっての適温は20℃〜25℃程度とされています。
一人暮らしをしていると家を空けている間に室温が上下して、適温から外れてしまうことがあるでしょう。
室温が30℃付近まで上昇すると熱中症になるリスクが増え、脱水症状と共に衰弱する危険があります。
反対に10℃付近まで下がると『疑似冬眠』と呼ばれる仮死状態に陥るのリスクがあり、無事に冬眠から目覚めないケースもあるため、一年を通して適温を維持してあげる必要があるのです。
冬場はヒーターを使用できますが、夏場のひんやりグッズでは限界があるのでエアコンを使うことになるでしょう。
電気代の負担も考慮して飼育が可能か検討してください。
\スマホで温度を確認できる温度計が便利です/
温度管理によるトラブル、失敗事例が非常に多いです。
ハムスターは初期費用こそ安いですが、エアコンを使うなら電気代は覚悟して飼われた方が良いと思います。
エアコンの必要ない時期に飼育を始めるのも電気代を抑えるのに役立ちます。
一人暮らしで飼う時の注意点②『脱走できないケージを使う』
上記にてハムスターは狭い環境でも飼育できるペットと紹介しましたが、あまりにも高さの足りないケースで飼育していると、稀に脱走してトラブルに繋がる事があります。
ハムスターは給水ボトルやホイールに登ったり、ジャンプして飛び移るだけの運動神経を有しているので、一番高い飼育用品に乗ってしまっても逃げられないようケースの高さを考えます。
また、ケース上部に金網の蓋をするのも有効な脱走対策となります。
活発でパワーのある子が金網を押し上げて脱走したという事例を聞いたことがあります。もし脱走しても大丈夫なようにケージ周りを整理し、危険な物を置かないことが大切です。
一人暮らしで飼う時の注意点③『最寄りの動物病院を調べておく』
これはお迎えする前にしておいて欲しい一番大切なことです。
よくペットショップに相談の電話をされるお客様がいますが、私たちは医療の知識は持ち合わせていません。また、電話越しのアドバイスはかなり難しいです。
いざという時に駆け込める動物病院を調べておいてください。
その際には『ハムスターは受診可能か』を必ず確認してください。
ハムスターを含む小型のペットは急な体調変化により命を落とすケースが多いので、万が一の場合に受診できる病院を調べておくことは非常に重要です。
その際には、ハムスターを診て貰えるのか口コミや電話で確認してください。
小動物を扱う動物病院の中には、鳥類や大型の齧歯類(うさぎやチンチラなど)しか受け入れていない所もあります。
ハムスター飼育を始めるにあたって必要な物と選び方
最後にハムスター飼育を始めるにあたって必要な飼育用品と選び方、あると便利なおすすめグッズを紹介します。
飼育用品は2,000円程度のセット販売もされていますが、しっかりと選ばないと脱走や怪我、水漏れによる病気の原因となります。
低価格かつ高品質な飼育グッズを紹介しているの参考になさってください。
ハムスター飼育で必要な物①『飼育ケージ』
飼育ケージは十分な高さがあり、ある程度の通気性が保たれていればどんな物でも構いません。
ゴールデンハムスター種やジャンガリアンハムスターといった賢い種類のハムスターはトイレを覚えてくれるので、専用のトイレ砂を設置すればケージ内の湿度を低く維持できます。
しかし、中にはトイレを覚えるのが難しい種類もいるのでケースが雑菌の繁殖しやすい環境になってしまいます。
初心者は水槽のような通気性の悪いケースは避け、専用の飼育ケージを購入すると良いでしょう。
\ハムスターが見やすいグラスハーモニーがおすすめ/
ハムスター飼育で必要な物②『給水ボトル』
ハムスターが水を飲むのに必要な給水ボトルには、床材の上に設置する置き型タイプとケージに取り付けるタイプ、ケース縁にぶら下げるタイプの3種類があります。
基本的にどのタイプを使用しても問題ありませんが、初心者や一人暮らしの方には置き型タイプはおすすめできません。
給水ボトルが床材に接触して水漏れが生じたり、補給部分に床材が入って細菌繁殖に繋がるためです。
特におすすめなのが、こちらのペットニードの吸水器タイニのように壁への設置と吊り下げの両方が可能なタイプです。
飲み口にボールが2つ付いているため、劣化やハムスターが飲み口を齧った際の水漏れにも強いです。
\ハムほしでも愛用の給水ボトル/
ハムスター飼育で必要な物③『ホイール(回し車)』
上でも解説しましたが、ホイール(回し車)は回転部にベアリング構造が採用されているサイレントタイプを選びましょう。
賃貸で一人暮らしをしている方にとって騒音対策は大切です。
また、サイレントタイプを選ぶメリットは音だけではありません。
プラスチックや木製のホイールに比べて回転部の摩耗が少ないため、長期間使用できたり、ハムスターが走る時の負荷が少ないといったメリットがあるのです。
\これを選べば間違いなしです/
ハムスター飼育で必要な物④『フード(ペレット)』
「ハムスターのごはんは、ひまわりの種」と思われがちですが、これは間違いです。
ひまわりの種を始めとする種子類には多くの油分が含まれており、ハムスターの主食として与えてしまうと肥満や下痢、その他の内臓疾患の原因となります。
必ずペレットと呼ばれる人工飼料を与えてください。
ペレットはハムスターがペットショップで食べていた物でも、購入しやすい価格帯の物でも大丈夫です。
ハムスター飼育で必要な物⑤『床材(マット)』
ハムスターの隠れ家となったり、お家を作る際の巣材として使用されるのが床材(マット)です。
床材には、紙製のペーパーチップ、木製のウッドチップ、土、綿など様々な種類がありますが、初心者の方にはペーパーチップか広葉樹のウッドチップをおすすめします。
他の床材をおすすめしない理由は、針葉樹のウッドチップはアレルギーを引き起こす可能性があるため、綿はハムスターの口内や頬袋に張り付いたり飲み込むことで腸閉塞を起こすリスクがあるためです。
また、土の床材は管理が大変なため一人暮らしの方では負担が大きくなる可能性があります。
他にもハムスターの隠れ場所となるおうち、臭いや細菌繁殖を防ぐためのトイレ、温度計、ヒーターといったアイテムがあります。
必要に応じて揃えていってください。
ハムスター飼育であると良い物『ペット見守りカメラ』
一人暮らしのペット飼育でよくあるのが「外出時ペットが元気か心配」という声。
また、ハムスターは夜行性のため「夜間の活動している姿を見たいけど、明かりをつけると隠れてしまう」という声も多いです。
そういった時におすすめなのが、SwitchBotの見守りカメラです。
専用のハブとカメラを設置しておけば、スマートフォンでいつでもどこからでもハムスターの映像を確認できます。
また、SwitchBotの見守りカメラにはナイトビジョンモードがあり、電気を消した室内でもハムスターが活動している姿を見ることができます。
エアコンやヒーターといった家電も操作できるSwitchBot製品ですが、使用には専用のハブが必要となるので忘れずに購入しましょう。
\ハムほしでは夏冬と繁殖時に重宝しています/
飼育用品にこだわるのも楽しみのひとつです。
以前に比べて可愛らしい飼育用品が各メーカーから販売されていますので、機能性や見た目などこだわるもの良いですね。
一人暮らしのハムスター飼育まとめ
このページではハムスター飼育を考えている一人暮らしの方向けに、ハムスターの種類や生体、ハムスターが一人暮らしの方にも向いている理由、家を空ける時の注意点など解説しました。
ハムスターは犬や猫のように広いスペースを要しないうえに鳴き声や匂い、部屋を傷つける心配もありません。
小動物の中でも特に飼いやすいペットではありますが、温度変化や極端に暑い・寒い場所を苦手とし、その運動神経の良さから脱走のリスクもあります。
そんなハムスターを健康かつ安全に飼育するためには、エアコンやヒーターを使用した適切な温度管理と脱走対策、もしもの時に備えた動物病院のチェックが必要です。
飼育費用を今一度再確認し、しっかりを準備を行ったうえでお迎えしてください。
小動物にもひとつの命がありますので、人と同じように新しい家族を迎える気持ちで飼育を始めて頂きたいです。
今回の記事を参考にハムちゃんとの楽しい生活を送ってください。
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